パルプマガジンみたいに薄っぺらいコラム
親愛なる友だちへ、ひねもです。
時勢柄やめとこうかなとも思っていたのですが、今回は日本刀について書きます。
武器である以上、殺傷能力のある道具の話しとなるので苦手な方は読まないようにご注意ください。よろしくお願い申し上げます。
日本刀という存在自体は時代劇や小説等で知っていたし、実物も博物館で見た事もある。なんなら祖父宅には本物の短刀(いわゆる脇差的なやつ)もあった。
だけど作り方について全く知らず勝手なイメージで長い鉄の棒(下記写真みたいなやつ)を叩いたり削ったりして作っていると思い込んでいた。
鎌倉時代よりずーっと前にはこういう単なる鉄の塊を叩き伸ばし鍛錬するやり方もあったみたいだ。その場合は色んな素材を混合し強度を持たせたりしていたらしい。
現在の、、、現在といっても日本刀の黄金期は鎌倉時代辺りなんだけどその頃の製法はこうだ。
現在の、、、現在といっても日本刀の黄金期は鎌倉時代辺りなんだけどその頃の製法はこうだ。
この”玉鋼”という石ころみたいなものを高温で熱するのがスタート。
厳密に言うと現代だと鉄鉱石から精錬するが、鎌倉時代は砂鉄をかき集めて作っていたらしい。
なので砂鉄を10キロくらい集めるのが本当のスタートだ。この時点でかなり大変だ。
熱した玉鋼を叩き伸ばして鉄の板にする。
厳密に言うと現代だと鉄鉱石から精錬するが、鎌倉時代は砂鉄をかき集めて作っていたらしい。
なので砂鉄を10キロくらい集めるのが本当のスタートだ。この時点でかなり大変だ。
熱した玉鋼を叩き伸ばして鉄の板にする。
この二人がかりで伸ばす作業から”相槌を打つ”という言葉が生まれたらしい。息を合わせて打たないと均等に薄くならない。
そうして出来た板を水で急冷する。
そうして出来た板を水で急冷する。
これをさらに薄く伸ばして刀にする。と言いたいところだがなんとバラバラに割ってしまうのだ。
割った断面を見て不純物の有無や状態を調べて、慎重に再構築して四角く積み上げていく。イギーポップもビックリのサーチ&デストロイなのだ。
これをバラけないように和紙で包んで、藁を乗せてさらに泥水をかけていく。
これを熱して焼いて叩いて薄く伸ばしていく。
やっと薄く伸ばして棒状にしていくのか!と思うがここからが真髄だ。
このキレイに仕上がったまるでガリガリくんみたいな塊になんと斧を入れる。
せっかく四角になったのに真っ二つにし折り曲げてしまうのだ。
この整形しては真っ二つに折るを15回程も繰り返すらしい。それが強度を出す秘訣。
そうすることによってなんと3万を超える層が出来上がるらしい。
いい国つくろう鎌倉幕府ってことは、、、800年以上前の作り方なのに凄すぎる。
そうすることによってなんと3万を超える層が出来上がるらしい。
いい国つくろう鎌倉幕府ってことは、、、800年以上前の作り方なのに凄すぎる。
さらにさらに凄いのはこの15回折り返した鋼は“外側になる部分”である。
芯になる部分には先程のとはまた別に5回くらい折り曲げて鍛えたちょっと柔らかい“芯鉄”というのを挟み込む。
芯は柔らかくすることによって弾力があって折れにくくなるらしい。
ギターとは逆ですね。ギターは真ん中にトラスロッドって強い鉄の棒を入れますからね。
芯になる部分には先程のとはまた別に5回くらい折り曲げて鍛えたちょっと柔らかい“芯鉄”というのを挟み込む。
芯は柔らかくすることによって弾力があって折れにくくなるらしい。
ギターとは逆ですね。ギターは真ん中にトラスロッドって強い鉄の棒を入れますからね。
ここまできてようやく僕が最初にイメージしていた細長い四角い棒を叩く工程になる。
この写真だけ見たら当初のイメージと同じだが、素材と工程の複雑さが全く違う。
この写真だけ見たら当初のイメージと同じだが、素材と工程の複雑さが全く違う。
ここからはお弟子さんではなく親方が自らトンカチを持って打ち伸ばしていく。
形が決まったらヤスリで削っていく。
その後はなんと刀身に土を塗っていく。
僕はここもビックリしたのだが、いわゆる“刃文“(下記写真参照)ってのは偶然出来る癖みたいなものだと思っていた。
流派や造り手の焼き入れの仕方や叩き方によって個性が出るんだろうな〜と。
その後はなんと刀身に土を塗っていく。
僕はここもビックリしたのだが、いわゆる“刃文“(下記写真参照)ってのは偶然出来る癖みたいなものだと思っていた。
流派や造り手の焼き入れの仕方や叩き方によって個性が出るんだろうな〜と。
実際は土を塗った上にさらに“置き土”と呼ばれる土を塗っていく。
刃文を意図的に描いていくのだ。
刃文を意図的に描いていくのだ。
これにはビックリした。
そうして置き土が乾いたらいよいよ最後の工程の焼き入れだ。
そうして置き土が乾いたらいよいよ最後の工程の焼き入れだ。
この焼き入れ〜急冷の工程で刀に“魂が入る”と言われている。
数々の複雑な工程を経て完成した日本刀の美しさといったらもう言葉が出ない。
失礼な言い方になってしまうがあのボロボロした黒い石ころがこんなキレイな日本刀になるなんて、、、と驚いてしまう。
失礼な言い方になってしまうがあのボロボロした黒い石ころがこんなキレイな日本刀になるなんて、、、と驚いてしまう。
アップにすると“沸”が見える。
この沸と呼ばれる粒子がキレイに出るためには材質が良く、なおかつ均一に鍛えられてる必要があり刀匠の力量が出る箇所である。
以上がかなり簡単ではあるが日本刀の製造工程だ。
(素人調べなので間違っている認識や単語があるかもしれませんがご了承ください)
調べていく過程で近年だと“刀剣乱舞”というアニメ?漫画?ゲーム?で日本刀を美少年美少女キャラクターに擬人化したものがヒットし巷で流行っているようなので、ご存じの方も多いのかもしれない。
なので僕は何も知らなかったのでこうして長々と製造工程を書いていますが、知ってて当たり前の知識だったらすいません。。
この沸と呼ばれる粒子がキレイに出るためには材質が良く、なおかつ均一に鍛えられてる必要があり刀匠の力量が出る箇所である。
以上がかなり簡単ではあるが日本刀の製造工程だ。
(素人調べなので間違っている認識や単語があるかもしれませんがご了承ください)
調べていく過程で近年だと“刀剣乱舞”というアニメ?漫画?ゲーム?で日本刀を美少年美少女キャラクターに擬人化したものがヒットし巷で流行っているようなので、ご存じの方も多いのかもしれない。
なので僕は何も知らなかったのでこうして長々と製造工程を書いていますが、知ってて当たり前の知識だったらすいません。。
侍や日本刀というと江戸時代のイメージも強いが、国宝や文化財に指定されてる日本刀の実に8割以上は鎌倉時代に製作されたものらしい。
なんでも鎌倉時代の刀の凄さはロストテクノロジーとも言われていて、江戸時代から現代に至るまで何百年も色んな人が試みたが再現できないそうな。
単純な切れ味の話しではなく、あくまで美しさや鋼の強さについて。現代化学で色々調べてもわからないらしい。
資料などがないため、どういう鋼をどう鍛えたかの配合や回数がわからず再現不可能だとか。
改めて考えると800年前の刀が錆びることなく今も輝いていて斬れるって信じられない。
たまたま一本だけ錆びてないのがあるとかならわかるけど、作者も作られた場所も違うのに何百本も未だに光り輝く刀があるという事はとても高度な技術があったという事だ。
江戸時代になると国が整備され流通が向上した関係で均一な品質の鉄が出回るものの、既に良質な鉄は手に入りにくかったらしい。
なので鎌倉時代〜戦国時代のような刀を打ちたい場合はその時代の鉄兜や鎧を古道具屋などから買って溶かして集めたらしい。
この辺の事情はギターとも似てますね。
いわゆるビンテージギターって呼べるのは1960年代までに製造されたものだけ。人によって解釈や定義は違いますがあくまで一般的には1970年を境にしてビンテージか否かって線引きがある。
もちろんもっと細かく言うと色々あるけどここを掘り下げると長くなるので端折ります。
何が言いたいかというとプレスリーやチャックベリーやリトルリチャード達がいわゆるポピュラーミュージックを普及させてからたった15年くらいでもう良い木材は手に入りにくくなってたと思うとなんだか凄いよな〜と。
まぁひねもす大臣&THRには無関係なお高いギターの話しですが。。
なので鎌倉時代〜戦国時代のような刀を打ちたい場合はその時代の鉄兜や鎧を古道具屋などから買って溶かして集めたらしい。
この辺の事情はギターとも似てますね。
いわゆるビンテージギターって呼べるのは1960年代までに製造されたものだけ。人によって解釈や定義は違いますがあくまで一般的には1970年を境にしてビンテージか否かって線引きがある。
もちろんもっと細かく言うと色々あるけどここを掘り下げると長くなるので端折ります。
何が言いたいかというとプレスリーやチャックベリーやリトルリチャード達がいわゆるポピュラーミュージックを普及させてからたった15年くらいでもう良い木材は手に入りにくくなってたと思うとなんだか凄いよな〜と。
まぁひねもす大臣&THRには無関係なお高いギターの話しですが。。
ちなみに書き忘れましたが刀を一本(一振り)作るにはどのくらいの鉄と燃やすための炭が必要か想像つくでしょうか?
仮に平均的な重さの1キロの日本刀を打つとしたら、最初の玉鋼は10キロは必要。燃やす炭は300キロは要るらしい。
鍛える過程で全体の9割は消失するってすごいな〜。
使う炭の量も半端じゃない。なんでも炭を切って同じ長さに揃えるだけの仕事もあったとか。
しかもあの複雑な工程のどれか一つでも間違えたらヒビが入ったり失敗になるので予備も同時に作ったらしいから、制作にはかなりお金がかかったようだ。
なので本当に良質な刀というのは少なくて、一般に出回った刀は安い鉄を混ぜてたりってパターンが多かったとか。
ギターで言う合板みたいなことですね。
江戸時代には戦はないので実戦で使うことはほとんどなかったわけだし。
実用品では無くなった分、鞘や鍔とか見た目に凝ったらしいからそちらの分野はむしろ栄えていったとか。
需要が無いため江戸時代に入ってから250年間くらいは日本刀を作る技術は停滞してたのです。
しかし江戸時代後期、いわゆる幕末になってペリーが来航した辺りから世の中が物騒になって日本刀の需要が再度高まっていく。
“水心子正秀”という人が先頭に立って鎌倉時代みたいな良い刀を作ろうという動きが出てくる。
で、この鎌倉時代を見習おう!って“刀剣復興論”に賛同したのが“源清麿”という男。
彼の生き様を題材にした小説がえらく面白くて、今回このコラムを書こうと思い立ったキッカケ。
江戸時代末期の刀鍛治が主人公。
清麿は現在の長野県の比較的裕福な郷士の家に生まれる。
旧家の婿養子に入り嫁と子供がいるにも関わらず日本刀を打ちたい!と急に家出してしまう。
江戸に行くものの誰かに弟子入りするわけでもなく、軍学者兼有名な剣豪の元でひたすら名刀を見まくる毎日を過ごす。
どうにかそれを真似してみようと試行錯誤の日々。
こういう天才にありがちな採算度外視で妥協せずただただ良い刀を作りたいってスタンス。そのため借金しまくりの生活。
そこそこ良い刀を作っても納得しない。
葛藤する中で出来上がる刀はまるで彼自身のように堂々として大胆かつ繊細。豪壮にして品格良しという素晴らしい佇まい。
幕末の混乱期のため色んな場所に行ったり攘夷運動に参加したり、芸者と駆け落ちしたりと波瀾万丈な人生で晩年はアルコール中毒になってしまい自殺してしまう。享年42歳。
有名なエピソードとしては新撰組局長近藤勇の愛刀“虎徹”は実はこの源清麿の作刀ではないか?との説がある。
“虎徹”は大名クラスの金持ちでも買えるかどうかという超高級品で、どう考えても近藤勇が買えるはずはなく刀屋が源清麿の刀に偽の銘を刻んで騙して売ったのではないか?と。
有名な池田屋事件では沖田総司をはじめとするみんなの刀が折れた中、近藤勇の“自称虎徹”は無事だったという。
虎徹か否か、清麿か否かは諸説ありどれが嘘か本当かはともかくとして、それだけ頑丈でよく切れたという事で源清麿の人気はより一層高まったとか。
彼の生き様を題材にした小説がえらく面白くて、今回このコラムを書こうと思い立ったキッカケ。
江戸時代末期の刀鍛治が主人公。
清麿は現在の長野県の比較的裕福な郷士の家に生まれる。
旧家の婿養子に入り嫁と子供がいるにも関わらず日本刀を打ちたい!と急に家出してしまう。
江戸に行くものの誰かに弟子入りするわけでもなく、軍学者兼有名な剣豪の元でひたすら名刀を見まくる毎日を過ごす。
どうにかそれを真似してみようと試行錯誤の日々。
こういう天才にありがちな採算度外視で妥協せずただただ良い刀を作りたいってスタンス。そのため借金しまくりの生活。
そこそこ良い刀を作っても納得しない。
葛藤する中で出来上がる刀はまるで彼自身のように堂々として大胆かつ繊細。豪壮にして品格良しという素晴らしい佇まい。
幕末の混乱期のため色んな場所に行ったり攘夷運動に参加したり、芸者と駆け落ちしたりと波瀾万丈な人生で晩年はアルコール中毒になってしまい自殺してしまう。享年42歳。
有名なエピソードとしては新撰組局長近藤勇の愛刀“虎徹”は実はこの源清麿の作刀ではないか?との説がある。
“虎徹”は大名クラスの金持ちでも買えるかどうかという超高級品で、どう考えても近藤勇が買えるはずはなく刀屋が源清麿の刀に偽の銘を刻んで騙して売ったのではないか?と。
有名な池田屋事件では沖田総司をはじめとするみんなの刀が折れた中、近藤勇の“自称虎徹”は無事だったという。
虎徹か否か、清麿か否かは諸説ありどれが嘘か本当かはともかくとして、それだけ頑丈でよく切れたという事で源清麿の人気はより一層高まったとか。
小説とても面白いので気になったら是非ご一読ください。
リンク貼っておきます。
https://store.shopping.yahoo.co.jp/aizuno/YA0115.html?sc_e=slga_fpla
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ブラザー、シスター長々と趣味の世界にお付き合いいただきありがとうございました。
素人のニワカ知識ですので間違ってる認識や単語など多々あるかと思いますが許してください。
日本刀は奥が深いです。
そして現在の日本刀はあくまで美術品です。戦争反対。
ネクストライブは4/16に下北沢で。ザマミ企画!ソウさんカムバック!よろしくお願いします!
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市井の人々の安心と安全を心より願っています。