パルプマガジンみたいに薄っぺらいコラム
ボーカルとマイク、ギタリストとギター
親愛なる友だちへ、ひねもです。
マイクシリーズPart4です。
予備知識が全然ない僕がマイクを選ぶのにあたってまず思ったのはあのロックスターたちはどんなマイクを使ってるんだろうってこと。
元々がJSBXから57に憧れた部分もあるし。
これがギターだったら例えば
アンガスヤングはSGだしチャックベリーはES335、キースリチャーズはテレキャスター、エリッククラプトンはストラトキャスター、ジョニーウィンターはファイヤーバード、ジミーペイジはレスポール
など相棒とも言えるべきトレードマークになっている楽器がある。
ボーカリストにとってのマイクはギタリストにとってのギターなわけで、●●さんと言えば●●のマイク!みたいなのがあって然るべきだ。
例えばエルヴィスプレスリーね。
通称”ガイコツマイク”と呼ばれるあの銀のやつ。
ブランドはもちろんシュアーだ。
ちなみにプレスリーが使ってるのは1939年に誕生した初期の”55“ではなく、1951年に後継機として作られた”55S”だ。
左SHURE 55/右SHURE 55S
こうして並んで見比べたら違いがギリギリわかるかな、、という感じだ。
右のプレスリー使用の方が少しスリムなのだ。
BETAの機能が入ったSHURE Super55
現行品SHURE 55SH
うん。全部一緒!
、、、じゃないです。
作られた年代も機能も違う全て別のマイクなのだ。
驚きだ。
このガイコツマイクは特徴的なフォルムだから比較的わかりやすい。
だが他のマイクはみんな見た目が似てる上にボーカルはハンドマイクや、握り込んで歌ったりするため全体が写ってる場合が少なくて写真などから使用マイクを特定するのはかなり難しい。
たぶんそうかもな、、、くらいのレベルでわかった範囲だと
98年のミッシェルガンエレファントはおそらくSHURE SM57
YouTube→ https://youtu.be/wN2KAZV3ZvY
SHURE 545SD
ポールバターフィールドがハーモニカ吹いてたあれの後継機だ。
SHURE 545S
SHURE 520DX
SIONさんはSHURE KSM8のような気がする。
SHURE KSM8
やはりシュアー人気強し。
いや合ってるかわからないけど。。
詳しい方いたら使用マイク&ケーブル教えて欲しいです!
今回のこの項を書くにあたって色々と調べたんだけど使用マイクの詳細は国内外問わずどのアーティストもほとんどわからなかった。
これがギタリストだと例えばストーンズのキースリチャーズだとすると、愛用テレキャスターがこんな感じで
いつ頃に入手したか、いつ頃のライブから弾いているか、何年製か、改造箇所、そしてそのブランド、または傷、それがいつ頃からか、ギター弦の太さとかまで細かく情報が載っていて、アンプの目盛りとかまで研究されてるのが普通だ。
どの曲で何回使ったかとかまでもわかる。
だけど、いま考えるとそのギターアンプを何のマイクで拾ってどこのシールドを使ってミキサーに繋げているかとかまでは書いていなかったような気もする。
ギターからアンプまではワイヤレスだとしてもアンプから鳴ってる音は有線で拾ってるはずなのに。
僕ら観客はアンプ本体からの音より、マイクから拾われ拡大された音をスピーカー越しに聴いてるわけで、そちらの方もかなり重要な気がするがそこについて触れてることはあんまりない(気がする)
んで、これが一方でミックジャガーだと”ミックジャガー マイク”で検索しても
マイクの持ち方だとか、歌ったエピソードといった内容しか出てこず、肝心のどこのメーカーのマイクを使っていてどこのワイヤレスシステムを使ってるかとかはわからなかった。
日本で有名なシンガーの場合でも同じで例えばGLAYのTERUさんも
やはりマイクの持ち方とかは話題に上がっていたが、歌唱力ではなくマイクのブランドや音質について詳細に言及されてる記事は発見できなかった。
ちなみにTERUさんはこの写真だとゼンハイザーを使っている気がします。
話題に出ている氷室京介さんもゼンハイザーのような。
ライブハウスに来るぐらい音楽が好きな人はそうじゃないと思うけれど、一般的にはバンドというか”音楽=ボーカルが一番目立つ”って認識があるはず。
“歌メイン”で聞いたり見たりしてるはず。
だけどその歌声を拾ってる最重要アイテムであるマイクについて、ほぼ言及されてないってすごい不思議だ。
僕の調べ方が悪いだけかもしれないが、著名なギタリストやベーシストの場合は”名前 ギター”で打ち込むだけで使用機材が上の方でヒットする。
そこからアンプやエフェクターまで簡単にわかる。
なのにボーカリストの場合は”名前 マイク”でほぼヒットしない、検索上位にすぐ機材が出てこないってことは一般的にあまり関心がないのでは?と思ってしまう。
ライブハウスでも、グレッチとツインの組み合わせは最高!とかやっぱストラトだよなあ!とかSGはマーシャルっしょ!足元はなんだろう?とかギターに関する会話はよくある気がするんだけど
●●さんは歌がうまいとか、声がステキ!とかじゃなくて、おっゼンハイザー×オヤイデはやっぱ音質がクリアだなあ!とかシュアー55からヘイルサウンドのFinにしようかと思ってんだ!とかゼンハイザーe935ってどんな感じ?みたいなマイクやシールドそのものの機材に寄った会話はほぼ聞いたことがない。
僕がピンボーカルじゃないからってだけかもしれないが、、。
Heil Sound The Fin
一方で唯一ビートルズの使用マイクは結構ヒットした。
まだシュアーのシェア率がすごくなる前の時期に活動していたからかもしれない。
ビートルズは1960年結成で1970年解散。
シュアーがSM58を発売するのは1966年。
ハンブルグ時代は四角いマイクをボーカルマイクとして使っている。
AKG D12E
ややこしい言い方をするが”ドラムに使われることが多い、もしくはドラムに使われることで有名なアーカーゲーのマイク”をビートルズはボーカルマイクとして使用しているのだ。
前回書いたドラムで使われるマイクをボーカルで使うやつね。ビートルズがそれだったのだ。
影響受けてるのかタイガースのジュリーもアーカーゲーを使用していた。
もうひとつビートルズといえば屋上で演奏してるアレね。
この細長いマイク。
これ普通のマイクに比べるとやたら細いが、回路部分を下につけてるだけ。
全体写真だとわかるけど、マイクがずーっと伸びてきて足元ら辺で太くなってる。
あそこが普通のマイクのグリップ部分に当たる場所。
なんでそういうデザインなのかはわからなかった。。
こちらもアーカーゲーのマイク。
ビートルズはアーカーゲーユーザーだったのだろうか。
AKG C30
なんか如意棒みたいなマイクだね。
これらは調べたら情報がある程度は出てきた。
が、やはり”ビートルズ マイク”で検索して一番にヒットするのは2人でワンマイクで歌うあのパフォーマンスについてだ。
武道館で使われたマイクはなんなんだろうとかも気になる。
アンプ前に立てられてるのもコンデンサーマイクっぽいし。
集音位置が今の感覚とはだいぶ違ってかなり遠い。
コンデンサーマイクならではの設置の仕方だ。
今だったらダイナミックマイクでスピーカーにベタ付けするもんな。
気になって調べても”武道館でのビートルズはマイクがグラグラしてて歌いにくそうにしてた”とかそういう情報しか出てこない。
いや気になるのはそこじゃないんだよなあ。。
はい、集音位置が今と違うとニューワードが出ました。
ここからまたマイクのお勉強コーナーになってしまうがマイクにはそれぞれ”集音範囲”がある。
これをわかってないでマイクを使うとライブハウスで誰もが経験したことがある”キーン”とした不快なハウリングを起こしてしまう。
朝礼で校長先生がやってしまうあれね。キーン。
マイクによって集音範囲が違う。
なので、どんな用途で使うか、どんな歌い方をするかで使うマイクは変わってくる。
またざっくり説明になってしまうけどダイナミックマイクはだいたい”単一指向性”だ。
なので、どんな用途で使うか、どんな歌い方をするかで使うマイクは変わってくる。
またざっくり説明になってしまうけどダイナミックマイクはだいたい”単一指向性”だ。
単一指向性とは言っても、”ボーカルだけ”を拾うのは不可能だ。
バンドで演奏してる場合は歌以外にもステージではドラムやギターやベースや色々鳴ってるわけで、そこからボーカルの音だけを抽出して集音するということはできない。
だから単一指向性のダイナミックマイクは拾う範囲を絞って、狙った音だけをなるべく拾うような形にしてるのだ。
それによって他の音を拾ってしまっての例の”キーン”を防いだりしたり。
僕が使ってるゴーナナとかは先端の形の通りゴッパーより拾う範囲が狭くよりピンポイントで音を狙える。
でもそれは良いことばかりではなく、狭い範囲で拾ってるがゆえにポイントから唇がほんの少しズレただけでも音量はガクッと下がってしまう。
急に音でかくなったり、小さくなったり、ズレたら拾わなかったりとシビアなのだ。
一切微動だにせず歌うなら問題ないかもしれないが、ライブ中にパフォーマンスしながらや体を揺らしながら歌う場合は注意が必要なマイクだ。
このようにマイクには必ずメリット、デメリットがある。
コンデンサーマイクは一般的にダイナミックマイクより繊細でよりたくさんの音をクリアに集音できるとされている。
それは裏返すと余計な音も全部入ってしまうということになるのだ。
エアコンの音、外でカラスが鳴く声、ズボンの擦れる音、口を開く音、足踏み、息遣い、全部入ってしまう。
こういった感度の高いマイクをライブで使うとしたら、よほど考えて立ち位置を決めなければならない。
低音に強いマイクならば、歌った場合は抜けにくさを感じるかもしれない。
なにかを得るには必ずなにかが犠牲になっているのだ。
話しを戻して、では集音範囲が広いコンデンサーマイクはどんな場合に使うか。
実はみなさんよく目にしてるアレ。
アレは実はコンデンサーマイクなのだ。
そう漫才で必ず見るこちら。
通称”サンパチ”ね。
これはコンデンサーマイクだ。
最も有名なゴッパー、サンパチ、2つともなぜか”8”がついている。別に末広がりとかって意味はないのだろうけど。
SONY C-38B
こちらのサンパチマイクの場合だと単一指向か無指向かを選べるスイッチがついている。
広範囲が拾えるマイクを使用しているので、漫才ではバンドのようにそれぞれにマイクを立てるのでは無く、ワンマイクで大丈夫なのだ。
んでサンパチは”漫才専用マイク”ではない。
何度も書くけど●●専用ってのは無いのだ。
あくまで”半世紀以上に渡って漫才時に使用されてきたので、漫才の印象が強いマイク”って言い方になる。
もちろん音楽に使っても大丈夫。山下達郎さんのデビューアルバムはこのサンパチでほぼ全てを録音したらしい。
この辺のこともマイクについて調べるまで全然知らなかった。
漠然とあれは漫才専用マイクだと思っていた。
固定観念は恐ろしい。
で、サンパチは広い範囲を集音できるから、バンドのライブで単体ボーカルマイクとして使うよりは、例えば離れた場所に置いてオーケストラ全体に対して使うとかの方が向いている。
もちろん一つのブースで一つをレコーディングするならギターでも三味線でもなんでも大丈夫だ。
次は集音範囲+ミックスの大事さだ。
たぶん1度はみんな見たことあるこういう宇宙船の中にある機械みたいなやつね。
これである程度は高音削ったり低音足したり、音量大きくしたり、エフェクトかけたりできる。
だからマイク本体の持ち味はもちろん大事だけど、このミックスもとても大事。
なのでカラオケとかで演歌歌手やプロの真似をしてやたらと口をマイクから離して歌う人がいるらしいが、それは大きな間違いだ。
で、案の定うまく歌えず”プロはすごいなあ”ってことになるらしい。
もちろん声量や歌唱力が違うのは大前提としてある。
だけれども使ってるマイクとミックスがカラオケとは全く違うってこともわかっておきたい。
自分に合わせた集音範囲のマイクで、それに合わせて緻密にミックスもしている。
だからああいう歌い方ができるんだよって事なのだ。
まぁそれがやっぱり”プロはすごいなあ”って事に戻るんだけど。
これだけ様々なマイクがある中で、なぜ1966年からゴッパーが今でも愛されて続けてるのかが改めて気になってきた。
その話しはまた次回。
ブラザー、シスター、もう少しだ!夜明けは近い!
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